ぞりんばれんと 惚れ薬でジェームズがスネイプに惚れたら[8/11] 忍者ブログ

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惚れ薬でジェームズがスネイプに惚れたら[8/11]

その後二人がスリザリンの談話室に戻ると、スネイプはまっすぐ暖炉に向かった。
「ルシウス」
先輩を呼び捨てにしたことに、レギュラスは少し驚いた。先輩どころか既に卒業しているらしいのだが。その人が暖炉の前の揺り椅子にゆったりとかけているせいで、談話室の調度品がいっそう高貴に映えた。シルバーブロンドを流水のように肩に流し、薔薇の花びらをちぎって紅茶に入れている。
「なにかな、セブルス」
ルシウス・マルフォイは手を止めた。同じタイミングでスネイプは目を伏せた。
「あれば、でいいのだけど、ローブを譲ってもらえないだろうか」
「ああ」
ルシウス・マルフォイはスネイプの頭のてっぺんからつま先まで、まるで初めて見たかのように、まじまじと眺めた。
「僕の手元にあるもでは大きいな。しかし君の学年のマルシベールに、今朝新しいローブが届いていた」
そして、彼は両手をぱんぱんと大きく叩いた。
「マルシベール!」
そのマルシベールという人は、友人との会話を切り上げて、小走りでこちらに来た。
ルシウス・マルフォイが、お下がりがほしいという用件を手短に伝えたが、マルシベールはスネイプが後ろにいるのを見ると顔をしかめた。しかし彼が断る前に、ルシウス・マルフォイは紅茶を口にして、唇についた薔薇の花弁を、ちぎった花びらの水分で薄紅に染まった細い指先ですくい取った。するとなぜかマルシベールという人は慌てて寝室へ行き、ローブを、しかもまだ薄紙にくるまれているものを、うやうやしく差し出した。なぜかさらに、カエルチョコレートについているダンブルドアのカードを差し出した。ルシウス・マルフォイは薔薇の欠片を暖炉の火の中に放り捨てた。スネイプが礼を言うと、ルシウス・マルフォイはただ喉で笑いながら首を振って、「では靴も揃えてやろう」と申し出た。

ルシウス・マルフォイと別れた後は、スネイプはさっさと当たり前にシャワールームへ向かった。見張れなどと言われていたのになんだか拍子抜けしてしまう。レギュラスがシャワールームを抜けて談話室に戻ると、スネイプは古いローブのままで、暖炉の前に丸くなって座っていた。ルシウス・マルフォイは、レギュラスの親戚であるナルシッサ・ブラックと壁際のソファで談笑していた。
「もうお済みですか」
「うむ」
濡れた髪は、つややかというよりは、ぎとぎとと光を放った。
「では、今は何を……?」
「暖炉で髪を乾燥中だ」
セブルスは、穴のあいた洗面器を膝に抱えていた。プリントの剥げきったゴム製のアヒルが入っている。
「なんですか、これ」
「マグルの玩具だ。父がくれた」
用途がいまいち分からず、レギュラスは首をかしげた。
「あの。リンスしか入っていないように見えるのですけど」
「それがどうか?」
レギュラスは一呼吸おいた。
「一般的に、洗髪というのは、シャンプーを先にするものなんです」
「しゃんぷー?」
「僕のを貸してさしあげますから、もう一度、それを試してみてもらえませんか?」
「面倒くさいな」
そそくさとシャワールームに向かうスネイプの背中に、レギュラスは髪の洗い方を早口で説明を振りかけた。
「それと先輩、また猫背になっています」

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