ぞりんばれんと 惚れ薬でジェームズがスネイプに惚れたら[7/11] 忍者ブログ

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惚れ薬でジェームズがスネイプに惚れたら[7/11]

「あとは」
とリリーがプチトマトのヘタをとった時、シリウスがまた一人スリザリン生を避けかけた。
「……何してるんですか、こんなところで」
「別に」
ただならぬ雰囲気を読んでリーマスが振り向いた。お互いを見つめたまま動かない真っ黒な髪と目の、シリウスともう一人、華奢な少年が立っていた。今年のはじめにスリザリンに組分けされた、シリウスの弟だと、リーマスはすぐに気づいた。
「話すと長いんだけど、悪意や悪戯のためじゃないよ。実は、僕らの友達のジェームズというやつが、間違って惚れ薬を飲んで、スネイプ君につきまとうようになったんだ」
「だからね、やつの言うセブルスの特徴を、変えることにしたの」
「そうなんですか?」
リリーの手前、セブルスは否定することができなかった。こくりと頷く。
「そうだわ、あなた、セブルスと寮が一緒なんだから、ちゃんと髪を洗うよう、見張っていてくれない? あとは、姿勢とか、近寄りがたい雰囲気出してないかとか」
シリウスの弟はあからさまに嫌そうな顔をした。
「レギュラスが関わる必要ねーだろ」
ぼそりとシリウスが言った。助け船を出したのがシリウスだったからか、レギュラスは口を尖らせた。
「駄目だよシリウス、彼以外、頼める人なんてスリザリンには、いないじゃない」
「あなたが」
レギュラスはシリウスのローブの袖を掴んだ。
「兄さんが家に手紙を出すのなら、構いません」
リリーは不思議そうな顔をした。セブルスは、『近寄りがたい雰囲気』を出している、とリリーに言われたショックでまだ固まっていた。
「今夜僕はこの先輩を見張りますから、その間あなたは手紙を書いてください。内容は、なんでもいいですから」
「じゃあ決まりね、みんなに宿題。セブルスはローブ調達と背筋。レギュラスくんは見張り番。ブラック、シリウス・ブラックの方、は手紙」
「みんなじゃないだろ、それ」
シリウスが律儀に突っ込んだ。
「私のは内緒。ルーピンくんは、シリウス・ブラックの見張りね」
随分と勝手に話が広がっているが、リリーが自分のことを気にかけてくれているのだから、セブルスは頷いた。
「そろそろ戻らないと、ピーターが、ジェームズの『箒の上で触れたスネイプ君の体の、骨ばった固さ』についての講義で頭をやられそうだ」
「柔らかさじゃないんだよな。あと俺の空腹も限界だ」
そう言い捨てて、シリウスはとっとと去っていった。
「あの、ルーピン先輩」
「なに? レギュラスくん」
「恐れ入りますが、兄に、ちゃんと手紙を書かせてくださいね」
「うん、今後もなるべく書くようにも言ってみるね」
「兄に似ず、いい子ね」
とリリーに手を振るセブルスの隣しか、席がなかったのでレギュラスは仕方なくそこに腰かけた、が。
「おい」
振り返ると、シリウスが戻ってきていた。
「リーマスとエバンズが、こっちの席の食器使っちまったから」
「空腹なのに、使い走られたんですか?」
レギュラスはくすりと笑った。
「ありがとう、兄さん」
セブルスの目はまだリリーを追っていた。彼女は今やっと席までたどり着いたところだった。

食事の間、少しずつながらも、スネイプとレギュラスは身の上話をした。
「座敷童子妖精に手紙を書くのか」
「両親に言えない失敗談や内緒を、クリーチャーは聞いてくれますから」レギュラスは小さく笑った。
スネイプはとくに表情を変えずに頷いた。レギュラスは彼のことを、人嫌いのとっつきにくい先輩だと思っていたのだが考えを改めた。話しやすい人だ。たとえば、兄の10歳の誕生日のケーキにろうそくではなく、マグルの指が10本、文字通り爪に火を灯してささっていて、怒った兄がそれをひっくり返して、その火で隣にいた自分が火傷を負ったとか。そういう話がしやすい人だった。以来のレギュラスの誕生日ケーキには、そういうことは無かった。

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