ぞりんばれんと 惚れ薬でジェームズがスネイプに惚れたら[5/11] 忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

惚れ薬でジェームズがスネイプに惚れたら[5/11]

果たして翌朝、めくるめくグリフィンドール、スリザリン合同の飛行術の授業だ。
シリウスは遠慮がちにエバンズの隣に立った。
「エバンズさん」
「なによ『さん』づけ?」
スネイプ当人に話しかけるのは憚られた。シリウスはジェームズを一度振り返った。箒を握りしめてポーズをとっている。
「あの、スニべ、スネイプの、容姿をどうにかしてほしいんだけど」
「はい?」
突然の失礼な注文に、エバンズは眉を寄せた。
「そうすればジェームズの気も削げるだろ」
「なに、そうゆうこと? 二人が衝突しない分、実害がなくていいじゃない。それに、私たち今ケンカ中なの。セブルスがいきなり怒ってて。私の手振り払ったりして。訳を話してくれないの」
エバンズはため息をつきながらそっぽを向いた。向いた方向に、スネイプとジェームズがいた。
「断る!」
「ホラ、君、箒得意じゃないだろ? 僕が手取り足取り教えてあげるったら!」
ジェームズがスネイプのローブのフードを掴んでひっぱっている。
「こらあ! やめなさい!」
エバンズが駆け寄った時、既に遅し。ジェームズは、カンチョーよろしく自分の箒を、仁王立ち中のスネイプの股にシュバッと通し、自分も跨がって、颯爽と飛び立った。
「しっかり掴まってね!」
「いいやああああぁああぁぁぁ!」
スネイプの悲鳴が遠ざかっていくのを聞きながら、エバンズはさらりと杖を取り出した。
悲鳴を歓声とでも勘違いしたのか、ジェームズはますます勢いづいて変態飛行を行った。ドリルのごとく回転したり、城壁スレスレを平行に飛んだり、急上昇、急降下はお手のもの、懐から出したピンクの発煙筒を片手にこれでもかこれでもかと曲がりくねって飛んでいる。
「ダメだっつのエバンズ! ジェームズ撃ったら、えーと、スネイプも落ちるからな!」
エバンズはシリウスを睨みつけて杖をしまった。一方リーマスとピーターは穏健に、学校の箒でグラウンドを掃いている。
「あれって、モコモコ発煙筒? なんか書いてない?」と、ピーター。
「I LOVE SNIVELS! はー。やるねープロングズ」
「ていうかさ、スニベルスって蔑称だよね」
そうこうしているうちに始業時間になり、マダム・フーチが颯爽と校舎から歩いてきた。
「ミスター・ペテグリュー! ミスター・ルーピン! 飛行用の箒は掃くのに使ってはいけません! 枝が削れて、正しく飛ばなくなりますよ!」
「そんな場合じゃありません!」
リリーが叫んだ。ジェームズとスネイプを乗せた箒は、はるか上空を舞い上がり、豆粒ほどしか見えない。フーチの鷹の目を持ってしても、ちゃんと見えるだろうか。
「あれは……ポッターですか?」
「見えるんですか?」
「いいえ」
フーチは箒に跨がった。
「一発食らわせてきますから、皆さんは箒に手を触れず、準備運動をしていること!」
「先生! セブルスが一緒に乗ってるんです! 拐われて」
ピンクの文字が踊っている空を見上げて、フーチは呟き、地面を蹴った。
「やれやれ、困ったことに、彼は紛れもなく『天才』ですね」
二人乗りしているにも関わらず、フーチがジェームズに追いつくにはしばらくかかった。
「授業です! それに危険行為に他人を巻き込むな!」
「うわーん! 人の恋路を邪魔するやつは、馬に蹴られて死んでしまえー!」
「幸い上空には馬はいないようですから!」
デタラメな軌道を描く二つの影を見上げる生徒たちの首がいい加減痛くなってきたころ。
「ぺぼっ!」
突然ジェームズが、後頭部をまるで、そう馬に蹴られたかのように、前のめって姿勢を崩した。まっさかさまに落ちていくスネイプに、フーチが急加速する。だめだ、間に合わない。誰もがそう思った。が、次の瞬間、スネイプは空中に地面があるかのように、とさりと何かに受け止められ、ゆっくりと下降してきた。クラスのほんの一握りの生徒には、ホグワーツの馬車を引く、骨格標本のような不気味な天馬が、禁じられた森から飛び出してきていたのが見えていた。して、注目されていないところで、危うく体勢を立て直し、命からがら戻ってきたジェームズにはマダムからのきついお叱りと、1ヶ月の罰則が言い渡された。スネイプは見えない馬の背から、エバンズの手を借りて恐る恐る降りてきた。不気味な天馬ばりの顔色をしていたので、エバンズに付き添われて医務室にヨロヨロ歩いて行った。
マダム・ポンフリーに挨拶するなり、セブルスはベッドに沈んだ。外傷などはなく、少しだけ休んでいくことにして、飛行術の授業はぶち壊しだし、残り時間もそうないので、リリーは授業を諦めてベッドに腰かけた。彼女は、セブルスよりはましなものの真っ青な顔で、眠っている彼の顔を覗きこんだ。

拍手

PR

ぞりんばれんと(producted by ぞり)
TemplateDesign by KARMA7
忍者ブログ [PR]