ぞりんばれんと 惚れ薬でジェームズがスネイプに惚れたら[3/11] 忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

惚れ薬でジェームズがスネイプに惚れたら[3/11]

そして土曜日の昼下がり、リリーとセブルスは図書館の、暖かい窓際の席で勉強していた。ついでに調べたがやっぱり効果は長引かないらしいと、ジェームズ・ポッターは放置したままだ。そこにシリウス・ブラックが乱入してきた。
「助けてくれ!」
何から、とリリーが目をやると、ルーピンとペテグリューが一歩後ろに立っているだけで、ブラックが恐れるようなものは見当たらなかった。訝るリリーに、机をだしだし叩きながらブラックは捲し立てた。
「朝起きれば、スニベルスの油ベトベト髪を撫でさすりたい! 座学の授業は教科書の隅っこに『S.S.』とイニシャル、やたら飾りを書き込む! 枕カバーに魔法をかけて、スネイプの声を鳴らそうとする! 毎日だぞ!」
「あなたが?」
「ジェームズが!」
話題の中心のセブルスは、顔を机に密着させて黙々とレポートを仕上げていた。その背後にぬっとマダムピンズが現れた。
「騒ぐなら出ていきなさい!」
参考書に鼻を埋めたままのセブルスと、あほくさいわと勉強に戻ろうとするリリーの首根っこをブラックが引っぱって、図書館を駆け出した。勝手に本を持ち出されないように入口にかけられていた防衛魔法で、セブルスの持っていた参考書が跳ねあがった。
「こ、ここはどこだ!」
「図書館を出たのよ、セブルス」
逃げ遅れたせいで先程の参考書にバシバシ叩かれているピーターを救出し、マダムピンズに謝り、リーマスは、やれやれと少し離れた木陰まで行って腰を下ろした。半泣きになっているピーターの頭を撫でて微笑む。だが、次の瞬間その笑顔はひきつった。騒乱から逃れてきたはずなのに、どうしてかえって視界にとらえられるんだ。
「いよう! リーマス! ピーター!」
事件の陰に、やっぱりジェームズ。そんな二つ名がつきつつあるジェームズ・ポッターが校舎から駆けてくる。
「何してんだ、こんなとこで。三人ともいなくなっててびっくりしたよ。シリウスは?」
僕は知りません、リーマスは薄ら笑いを浮かべて、ピーターに『いたいのいたいのとんでいけ』をかけてやる。
「あ、居たあ! シリウスー!」
図書館内にまで響くんじゃないかと思うほどの大音声だ。ジェームズは突風のように駆けていった。リーマスが移動しなくても、会話は十分その場で聞き取れるようだ。
「ってお前……、抜け駆けかーッ! 『スネイプだけはやめてくれ』ってつまり、お前も狙ってたんじゃないかい!」
頭を両手で押さえながら不安げに木陰から顔を出そうとするピーターを引き止めて、リーマスは大きなため息をついた。シリウスは地団駄を踏みながら叫んだ。
「なわけあるか! その、ジェームズ、お前のためなんだよ!」
その声は若干涙がかっている。
「それ、つまりスニベルスと僕を引き合わせてくれようとしたってわけか?」
変わり身の早いジェームズはもじもじ眼鏡のつるを弄りながら、空咳をひとつ。
「あのさ、スニベリー。僕と一緒に、モノポリーでもどうだい?」
しかしスネイプは状況を把握するのを諦めて、早くも図書館に戻っていこうとしていた。エバンズもすたすたとそれについて行った。
「待ってよスニベルス!」
肩を並べて歩いていく二人を見つめて、ジェームズは考えを変えた。
「エバンズ!」
予想外のジェームズの声に、エバンズは足を止めた。
「なに」
「その、スネイプくんとキミって、どういう関係なんだ」
スネイプは遠ざかる速度を落とした。
「友達よ」
リリーはくるりと振り返り、まっすぐにジェームズの目を見て言った。
「小さい頃から一緒で、大事に、きょうだいのように思っているわ」
「そ、そうか、なら良いんだけど」
振り向いたときと同じように、輝くような赤毛を風に揺らして、リリーはセブルスを追った。リリーの手が彼の袖をとらえたが、セブルスはそれを振り払ってしまった。図書館に入っていく二人の姿を眺めながら、ジェームズは拳をグッと握りしめた。
「僕もスニベリーたんに振り払われてみたい!」

拍手

PR

ぞりんばれんと(producted by ぞり)
TemplateDesign by KARMA7
忍者ブログ [PR]