ぞりんばれんと ハリーとスネイプはいっしょにくらそうよ[9/17] 忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ハリーとスネイプはいっしょにくらそうよ[9/17]

その後もしハリーの着替えが芋ジャーしかなかったら

先生さ。
届けに来てくれたって良いじゃん服。

スネイプに次いで、焦ってシャワー入ったせいで今度は肝心の自分の服を忘れていた。
部屋を跨いでいるから下手にアクシオはできないし。
(成功しても、はた目に見て飛んじゃいけないものが飛ぶ)
クリーチャーは!?
僕だけの下僕になってくれるんじゃないの!?
と思いつつ。
『パンツ持ってきてくれ』なんて言えやせん。

スネイプのために買ってきた、ビニールのショッパーにハリーは手を伸ばす。
芋ジャーが。
36万、いや1万4千年前の時代の中学校のごとくイモイモな灰色のジャージが。
何故か真っ赤なライン入りの芋ジャーが、ハリーの掌を満たした。

侘しい。
寂しい。
わびさび。
違う、詫び錆び。
ハリーは今何故か、東洋の国の文化を体現している。
いや、全然違うと思うけど。
あとでこれロンに言おう。
笑いにしようとでも考えていなければ、部屋までの屋敷内の道ですら、闊歩するには心が折れそうだった。

ところがさ。
異常に着心地が良かったんだ。
芋ジャーが。
僕は芋ジャーを着るために生まれてきたのかもしれない……。

翌日の風呂上がりも、ついこれを着てしまった。神のごとき着心地だ……。一発で天国に行けそうだ。
ハリーが感慨に浸っていると、しかしタイミング最悪なことにも、向かいから、羊皮紙とペンを抱えたスネイプが歩いてきたのだった。
ガラスのようなハリーの心は粉々だ。五巻映画のダンブルドアvsヴォルデモート並みに。
天国ではなく地獄行きだ。
部屋が隣同士だから、廊下ででくわす、なんて、当然起こることだった。
進路のクリアリングを怠ったことをハリーは悔いた。
「ふむ」
スネイプは挨拶を常にふむで済ませていた。挨拶を知らないのか教師の癖に。
でもこの場合どういうことなのだろう。
ノーパン(こっちもハマってしまった……)はバレなかろうが、こんな、ウィーズリーにしか婿に行けなくなるような芋ジャーへの嘲笑かもしれない。
それが結局素通りだ。
「ども」
と、微妙な返しをしてしまってから、墓穴を掘る覚悟でハリーは話題を展開させた。
「こんな時間から調べものですか」
「早めに目録だけでも作りたい」
魔法界にはコンピューターがない。
延々と。
魔法界では先陣の知恵を紐解くためには、幾億もの紙切れをめくり続けなければならない。
マグルも、まだまだ書面上にしかないデータばかりなので、手で調べていく作業が重要なのには変わりない。
だが、なんだかハーマイオニーに関わりがあったような気がする英国の某大学では、コンピューターが姿を表した後、すぐに大学図書館の全蔵書をデータベース化したと言う。
今日に至って個人単体で強いはずの魔法族がひっそりと隠れ住んでいるのは、魔力が遺伝されないケースがあるせいでの少数制が挙げられるが、実際、マグルの使う『魔法』の方が、遥かに膨大で強力なせいだろうと僕は思う。
遠射できる魔法は、かえって手先のものにしか影響を及ぼせないとも言える。
触れるものにしか触れないマグルよりも、その点最初から優越していたから、さらなる追求の手が弛んでいた。

生身では脆弱すぎるマグルの、絶大なる工夫に勝つことは、もはや不可能だろう。
そのためには、魔法教育は当面に対してのみ実践的すぎる。
マグルにとってのあり得ない存在が存在できる魔法界には、しかし、机上の空論が少なすぎる。
普通には『存在しないはずのもの』が有りすぎる。
だから、『存在しないもの』の空想が存在しない。
『存在しないもの』への希求力が、足りなすぎる。

混乱しすぎてそういうことをだだ漏れに喋ったら、スネイプは唸った。
やべ。
僕芋ジャー。
「公民館の、夏のはじめてパソコン教室に通ってみようと思う」
な、なんぞ、それ。
「君はもうすぐ魔法省に研修だろう」
そうそう、人手不足なので。
って。二人称が『君』になってる。引かれた。これ完全に引かれた。
「え、あの、なぜ」
「来た途中貼り紙があった。さらに、魔法薬の管理も機械で行えれば、例えば右から二番目の小さな瓶が何かなど、一目瞭然に出来るのではないか」
右から二番目の小さな瓶。
って星かよ。
祈ると何でも叶うのか?
右から二番目の小さな瓶。
「ホグワーツ全体に導入すれば成績管理も正確になるな」
パソコンへの理解が早すぎて面食らっているハリーをよそに、自分の言葉にふむふむ頷いて、やっぱりスネイプは書斎に入っていった。
てか。右から二番目の小さな瓶。ってどんな例えだよ。

拍手

PR

ぞりんばれんと(producted by ぞり)
TemplateDesign by KARMA7
忍者ブログ [PR]