ぞりんばれんと ハリーとスネイプはいっしょにくらそうよ[8/17] 忍者ブログ

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ハリーとスネイプはいっしょにくらそうよ[8/17]

もしスネイプに下着を買えたら

「ダークロードの指針についていけなくなり殺されたと聞いたが」
スネイプはスプーンを置いた。
「本当だとすれば、懸命なことだったと思う」
「スネイプさま」
クリーチャーは首を振っていた。
「レギュラスぼっちゃまは素晴らしい方でした、お優しい方でした。
 でも追っ手に討たれたのではありません」
と胸を張り、その上のロケットがきらきらと輝かせた。
それからハリーの方を向いた。
ハリーが頷くと、クリーチャーはぐっと下を向いて、ロケットを握りしめて、口を開いた。
「れーのあのひとの、大事なものを、すり替えなさったのです。
 クリーチャーは犠牲になりかかりましたが、レギュラスさまのせいで、助けられたのです。
 それから、レギュラスさまはれーのあのひとの罠をわざと受け、クリーチャーは犠牲にならせずに、罠をわざとお受けになりました」
「そうだったのか」
スネイプは一瞬目を泳がせたが、頷いた。
「これが、すり替えっこに使ったレギュラスさまのロケットなのです。
 クリーチャーはこの誇りを誇ります」
そう言って、もう一度胸を張った。
「クリーチャーどのはレギュラスが大事なのですね」
クリーチャーは猛烈に頷いた。
それで目が回ったらしくプルプル首を振った。

夕食が終わり、部屋に入ろうとしてハリーが挨拶をしたところで、スネイプに引き留められた。
「クリーチャーどのは、レギュラスの昔の宿題を見たら喜ぶだろうか」
「へ」
「ホグワーツに、残っているかもしれない」
「そ、そりゃ喜びますよ! きっとなんだって喜びます」
「では来学期、探しておく。ならば」
スネイプは腕を組んだ。
「そのついでに、貴様の両親の課題を……、」
そう言いかけたが逡巡して、結局踵を鳴らして部屋に戻ろうとした。
「それも、お願いします。一緒に見ましょう。どうせなら在学中に参照できた方が有り難かったけど」
「……阿呆」
「おやすみなさい」
「…………うむ」
なんて。
さわやかに言ったんだけど忘れてた。
閉じられたドアをノックすると、想定外に早く開かれた。
「あの、シャワーお先にどうぞ」
「いや私は今日は、」
「ちょ、
 風呂入んない気ですか!?
 列車に長時間乗ったり、厚着で炎天下歩いたままクリーチャーがキレーにしたおふとんを!?
 ほざけんじゃありませんよ!
 つーか、現時点まさか、無風呂何日目ですか……」
「学期末で忙しかったからな、ええと」
と指折り数え出す。
た、頼むから片手で足りてくれえ……。
「もうそれはいいっす、行ってください風呂。今すぐ。駆け足」
「おま、私に対する敬いの態度30%減」
「そう思ったなら風呂行ってください!」
と。
送り出してしまったが。
また忘れてた!
着替え持ってかせてない!
自分の着替えを用意していたら気づいて、ダッシュで追いかけたがもう扉の向こうにはシャワーの水音が充満していた。
床にぐちゃぐちゃに脱ぎ捨てられた衣服。
ここに例の灰色が埋まっていると言うのか。
どうしよう。なんでこんなにゾクゾクするんだ。
不衛生だからに決まってるだろ!!

「先生! 失念していたのですが、お着替えをとるために、お荷物を改めてもよろしいでしょうか!」
「ぷあ? ああ、すまない、頼む」
水被ってんだ。水被ってんだ。
ぷあって。

意味もなく帰りもダッシュして開けた鞄には。
いえーい。筆記用具しか入っていねー!!
ねえもしかして、先生ってDADAどころかBAKAなの?
先生の服触れるとか思ったのに。え。あ、思ってない思ってない!
てゆか、鞄ごと持ってってあげればすむ話か。
いや、中身ないから関係ないんだけど。

僕のだとサイズ合うかな。
イヤイヤイヤ!

「クリーチャあー!!」
助けて。まじ助けて。下手すると四年の時のダンスパーティー並みにピンチです。
「お呼びですかマスター」
ぱちん、と次の瞬間にはもうクリーチャーはそこに立っていた。
「うん、スネイプ先生の体のサイズを教えてほしいんだ」
「かしこまりました」

クリーチャーがまた姿くらましをし、ハリーは待った。
マンダンガス捕獲任務ばりに待った。
「マスター、分かりました」
「おおおっ!」
「こしょこしょこしょ」
ちょ、うは!!
「どうやって確かめたの!!」
「ドア越しにお訊きしましてございます」
あ!!!
くそ……!
「マスターどこかお体の調子でも」
「いや。元気すぎるくらい元気さ。ちょっと出かけてくる」
「どちらへ? ご用ならクリーチャーめが」
「パンツを、買いに――僕はキメ顔でそう言った」

普通のマグルの衣料量販店(深夜営業を駆けずり回って探した)で買い物するのってこんなにドキドキするもんだっけ。
と、いうか、こんな”怪しい笑みの青年だわ”的な目で見られるもんだっけ。
まあいいや。
ハリーは喜び勇んで人目を忍んで姿くらましし、グリーモールドプレイスに戻ってきた。脱衣所に。
鉢合わせを期待しているわけでは無い!
しかし、それは叶った!!
が、
「服着とるやん!!」
そりゃ、あれだけ悠長に物色などしている間にシャワーはすむだろう。
「ん。どこへ行っていたのだ」
「パン……っ、あなたの服を買いに!」
「ああ、寝巻きはお古があったと言うんで」
スネイプはワンピース型の黒いパジャマローブの裾をつまんだ。生足が覗く。
ハリーにとっては1年の頃、フラッフィーに噛まれたのを見て以来だ。
「え? とじゃあ……下着は」
「…………」
スネイプは顔を赤らめてそっぽを向いた。
「買ってきたんだろうな」
「レヴィコーパス!!」
「エクスペリアームズ!!」
ヴォルデモートをも打ち破った僕の必殺技を教えてくれたのは、もとより他でもないあなたなのでした。
「…………どうぞ」
袋ごと差し出すと、スネイプは中を漁って、ハリーがシュミに明かせ、ようとして怖気づいて普通のものになってしまった、柔らかい布地をつかんだ。
そして両手にかまえ、軽く屈んで片足立ちになり、(黒いパジャマから白い骨ばった脚が見えている!)
足を滑らせた!!
武装解除魔法はすぐ出せたのに転んだっ!
ハリーはがしっとその肩をつかみ、受け止めた。
死線を潜り抜け続けてきた甲斐があった。
「大丈夫ですか」
「すまない」
ああなんて骨のような肩!
浮いた鎖骨にも触ってしまった!!
ハリーに支えられたままスネイプは、下着を履く作業に戻った。
前かがみなので布地の隙間に見える鎖骨とその向こう。
持ち上がった白い膝。
「……ポッター、さこつ、ぐりぐりするな」
最後にたくし上げられるローブ。

大腿!!

肩が離れていくまでが永遠になればいい。
つい先日魔法界を救った英雄がそんなことを考えていた。
「あの、じゃあ僕このままシャワー入っちゃいますね」
「ああ」
床にあったスネイプの脱ぎたて衣類はもう片づいていた。
クリーチャーめ。仕事が早くて理想的な座敷童子妖精め。
スネイプが出て行く前からハリーはTシャツを脱ぎにかかっていたのに、スネイプは特にあわてず普通に出て行った。
それがなんだかハリーはとても嬉しかった。家族っぽいなあって。

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