ぞりんばれんと ハリーとスネイプはいっしょにくらそうよ[7/17] 忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ハリーとスネイプはいっしょにくらそうよ[7/17]

もしもいっしょにくらせたら

黒い革の古めかしいドクターバッグを両手で膝の前に提げて、スネイプはグリーモールドプレイス12の敷居を跨いだ。

「ただいま」
先導したものの、その言葉を言うのに、ハリーにはまだ違和感があった。
ここは、シリウスの家。
シリウスがいなければ。
家族がいなければ。
家というより、去年の夏と同じで、ただの拠点という気しかしなかった。
だから、ルームシェアのような気持ちで、スネイプを呼べもしたのだ。
高級な調度品のよそよそしさから、ハリーはようやく自分の親切心の裏の気軽さをを理解した。

「おかえりなさいませ、マスター」
「ただいま、クリーチャー」
それでも。
先に学校から戻って用意をしてくれていたクリーチャーのおかけで、暖かさを、ハリーは感じることができた。

「クリーチャー、ホグワーツの夏休みの間、スネイプ先生を泊めて差し上げたいんだけれど」
「はい、お手紙で、お分かりしています」
クリーチャーはスネイプに向いて、素早い振り子のようにお辞儀をした。
「このたびは、お騒々しいことで」
「いや。お世話になります」
スネイプは、クリーチャーがまともに喋っている時点で面食らっているようだった。
そのせいなのか不明だが、クリーチャーに敬語だった。

ちなみに敬語の使われ方から見ると。
全方位から敬されるスネイプ。
クリーチャーからのみ敬語のハリー。
スネイプからのみ敬語のクリーチャー。
わけがわからないが、どうやらヒエラルキーの最上位にいるのは、スネイプらしかった。

「お荷物を」
スネイプは片手をあげて、鞄を魔法で浮かせた。
「街中を歩くので、手を使っただけです」
ぴょこぴょこ跳ねるクリーチャーについて、一行は二階へ上がった。
「マスターは、以前と同じお部屋で。
 スネイプさまはそのお隣で、構わないでしょうか」
「書斎が一番近いんですよ」
「構わない」
いつもよりさらに無愛想な気がするけど。いいのかな。
「では、長旅でお疲れでしょうから、夕食までお休みください」
長旅、というのは、せっかく最後なのだから、姿現しではなく、列車を利用したのだ。
「先生、どうします、部屋に戻られますか」
「……」
うげ。
ひどいしかめっ面でハリーを睨んでいる。
なにかもてなしに失敗しただろうか。
つつつー、と人差し指で、全く埃がないのを確かめて、ハリーは焦った。
他に何か。気にさわるようなことは。
「しょ、」
しょ。消滅しろこの顔面草履虫?
い、いけませぬ顔面は流石に産まれもってのもので、七変化でもない僕ではせいぜい片眉を黄色くする程度でございます。
「書斎を見ても、構わないか」
「ひいぃーひらにひらにー! お代官様、その反物だけは!
 母の形見でございますー!」
「……駄目か」
「えっ?
 あ、イエイエイエすいませんどうぞいくらでも!」
なんか。
調子狂うな。いや狂いすぎだけど。

向こうも同じかもしれない。
とか、ハリーはちょっと思わないでもなかった。

拍手

PR

ぞりんばれんと(producted by ぞり)
TemplateDesign by KARMA7
忍者ブログ [PR]