ぞりんばれんと ハリーとスネイプはいっしょにくらそうよ[15/17] 忍者ブログ

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ハリーとスネイプはいっしょにくらそうよ[15/17]

もしヴォルデモートを表現するなら

「魔辞書をデータベース化した!」
深夜。ドアの前でそう叫ばれて。
夢?

「……へ?」
一発で目が覚めた。

「先生?」
「ああ!」
なにそのテンション。
明日も朝から僕、仕事なんですけど。

裸足のままドアを開けると、スネイプはブンッと頷いて、書斎まで僕の背中を両手押し、パソコン前に着座させた。
(周辺家具を揃えていないので、アンティークなマホガニーの机と椅子だ……)

画面には、『curse』『charm』……教科書で見慣れた魔法区分。
用途、難度、を指定して検索ボタンを押すと、条件に合致した魔法の解説ページが表示された。
『Fidelius charm』
秘密の番人と呼ばれる結界魔法かくかくしかじか……。

「すご、すごいよこれ先生!」
「ああ!」
だから、このテンションはなんなんだ。
重ねてガッツポー、
「たっ」
肩を上げようとして、スネイプは硬直した。

もしやと思い肩に触れる。
「固っ、せ、先生肩凝り過ぎ、やばい」
「うむ……」
あ、テンション下がってってる。
「しょうがない人ですね」
持ったままの肩を椅子に入れ替わり式で座らせ、そのまま解す。
「ふぐっ……」
「痛いですか?」
「いや」
「気持ちいいんだ?」
「……」
僕、別に悪いことはしてない。はず。

「こんなのにかまけて、来学期の用意はしてるんですよね」
「もちろんだ」
顔を覗きこんだら、細めていた目を、しっかと開かれてしまった。
「今年こそ防御魔法主体の授業にするつもりだからな、教科書も見繕った」
「ヴォルデモートは滅んだのに」
「だからと言ってこの授業がなくなるわけではない。それに元々あの方のために新設された科目であったわけでもない。
 死喰い人の残党が絶えたとしても、闇の魔術はなくならない。
 なるべく闇に堕ちるものを出さず、また身を守る手段を教えてやることには、いつまでも力を尽くすべきだ」
「闇か光かだなんて、使う側のやり方でしかないと、最近思いますよ」
「ああ。どんなことでも、悪意の媒介にすることはできる」
スコージファイとか?
……殺されそうだから言わないけど。

「先生は、ヴォルデモートの話を出すと、まだ悲しそうな顔をなさいます」
「……」
スネイプは深いため息をついた。
「リンクを持っていたお前なら、あの方の精神が、理解できるか」
「感覚したとしても、他人の精神が理解できるわけではありません。
自分のことだって分からないんだから」
話していて留守になっていた肩揉みを再開する。
「そうだな」
スネイプは目を閉じて、嵌め直すように首を左右に倒した。
「あの方は、他人だった」
スネイプはどこか嬉しそうに、唄うように言った。
僕がヴォルデモートを人だと呼んだからだろう。

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