ぞりんばれんと ハリーとスネイプはいっしょにくらそうよ[11/17] 忍者ブログ

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ハリーとスネイプはいっしょにくらそうよ[11/17]

もし二人きりで出かけたら

「クリーチャー、今日は買い物で遅くなるから晩御飯は一人で食べてね」

PCはさておき、もっと生活必需品をそろえねば、とハリーとスネイプは二人、ロンドン市外に来ていた。
魔法省から帰るなり、マグルの装いに着替えてタッチアンドゴーで家を出た。
実はいろいろ期待していたのに、スネイプはオイスターカード(SuicaとかPASUMO的なやつ)まで持っており、むしろそれでハリーの切符も買われてしまった。
「DE時代の地下活動にわりと必要でな。マグルの交通機関は、コチラ側では逆に足がつかない」
さすが本場の魔法スパイは違う。
てか去年それを教えてほしかったとです……。
「あ、でもグリンゴッツに換金行かないと」
やはり世俗的な、お金のことには疎かろう。
「大丈夫だ。カードがある」
「…………」
スネイプは何気もなく、スマートフォンでロンドンの地図を眺めている。
「先生、ぜんぜん生活力ありますね」
「だからどうした」
えええー……?
なんかもっと迷子とかそういう感じのイベントは無かった。


ハリーはTシャツが好きだ。
ごてごて着飾るより、普段着はTシャツジーパンスニーカーくらいがスマートだと思うのだ。
ちなみに『TOKYOな』と描かれたTシャツ(奮発した)も持っているが、日本のアルファベットらしい、『な』、これはどういう意味だろう。
と、いうわけで買えるハズも無いハイソな服屋でも、やっぱりTシャツを見てしまう。
いいなあこれ。魔法界マネーはまだしも、マグルマネーだとやっぱり貧乏性なのでまず値札を裏っ返すと、
高い高い! おかしー!!
この値段がTシャツだと?
「サイズはどれだ?」
「あ、イヤ、ジャストルッキングです。見てるだけーです」
「普段着が無いと困るだろう」
いやこれ、僕の普段着の価格じゃないっす。
ああ、ほら! 店員さんがやって来ちゃったよー!
スネイプはテキパキとトータルに指差して、あれよあれよという間に飛ぶようなお買い物をした。

店を出て街を歩きながらも、ハリーは感謝の言葉を述べ続けた。
「ずびばぜん、あでぃがどうごだいばどぅ」
「今までお前の教育にかけた労力に比べれば、ものの数にも入らぬな」
スネイプはにやりと笑う。
オトナな父親がほしいとは思ったけどさあ!
「それにマグルマネーを持っていないのだろう。給料を振り分けたらどうだ?」
「へ?」
「大体まともな組織なら、マグル側の会社手続きもとってあって、マグル側の銀行に給料を割り振ることもできるのだぞ」
「へ、ホグワーツも魔法省も?」
「当たり前だ。どれだけマグル出身者が居ると思っている。
 こんなことも知らんのは、せいぜい完全に純血の家系くらいのものだな。
 もっとも去年はこのシステムもストップしていたが……」
えええ……ダーズリーおじさんおばさんの老後には仕送りでもしようかなあ……。
てか本当、先生かなり堅実に生きてない? 期待はずれもいいとこだ。
「ほら、自分の分くらい持て」
「い、いや全部持ちますって」
ハリーは両手でショッパーを受け取り、先に歩いていってしまったスネイプを追う。

そんな感じでレストランで食事をして、ハリーの片手積載量限界まで買い物を繰り返し、手ぶらのスネイプは言った。
「少し遊んで帰るか」
「え?」
「お前ももう成人だろう。それともまだ買いたいものはあるか?
 そのメガネ、コンタクトにする気は?」
マグル服でも黒を基調とするスネイプの出で立ちと、冗談めかしたひねた笑いは、夜の街のものすごく似合っていた。
それだけで魔術的だった。
「コンタクトにはしないけど、受けてたちます」
「勝負ではないのだが」
颯爽とオサレなバーを見繕い、慣れた様子でスネイプはバーテンに告げた。
「牛乳2つ」
「っおい!!」
「呑む前には胃壁に防壁を作っておいたほうがいいぞ」
せめてカタカナで言ってほしかった。
その後は、スネイプはレモンのスライスがグラスに刺さっているカクテルと、ハリーはしょっぱい犬みたいな名前のお酒をそれぞれ飲んだ。
ゆっくりと一杯目を流し込んでしまうと、話すことが無くなった。
「先生?」
スネイプはうつむいてしまっていた。
ハリーは覗き込む。

「……赤! 顔赤!」
「ぎぼぢあぐい……」
「まままままままって先生ミルク効果が全く無いですよ!」
スネイプは口を押さえてハリーのほうを向いた。
目がぐるぐる渦巻きになっていた。
「わあすっごい、先生、目が漫画みたいですよ!」
スネイプのポケットを漁って、定期入れにさし込まれていた(……)クレジットカードでソッコーで会計を済ませ、ハリーはスネイプを肩に担ぎこんだ。
まあ実際、片肩を貸してもう片肩は荷物をしょっている。カタカタカタカタ。
電車? ナイトバス? いや……だめだ。何一つだめだ。
ハリーは必死にひと気の無い路地を探して、そこで全力の姿くらましをかけた。
(ほんと周囲からどう思われたんだろうか)


「クリーチャー手を貸してッ!」
「どうされたのですかマスター」
クリーチャーは即座に玄関に現れた。
「水! とりあえず水を!」
ぱちん、とクリーチャーは指を鳴らして、レモンを浸した水のグラスを出現させた。
買い物の紙袋をばさばさと床に落としハリーがしゃがむと、寄りかかっていたスネイプもへたへたと潰れた。
「飲めますか?」
「すまな……うぇ」
ハリーが口元へコップを持っていくと、潤んだ目をして、大人しくこくこくと飲んでくれた。
それから居間のソファまで引きずっていって座らせると、スネイプはずるずると横たわった。
重量から開放されて、ハリーはほっとため息をついた。
やせているとはいえ、フルサイズの男が羽のように軽いわけは無い。80? 70? はたまた60kg代?
ソファの肘置きに腰掛けたハリーが目分量で計測していると、横になって少し元気が出たらしいスネイプがうわ言のように口を開いた。

「すまんポッター」
「や、こんくらい別にいいすけど」
スネイプは安心したように目を閉じた。
「先生大丈夫ですか」
「ああ」
「何でこんなに弱いのに呑むんですか」
「ダンブルドアが」
ああ。今日のスマートさの元ネタってそうか。
納得、あの人ならこう、やりかねない。
「新任のとき買い物に付き合ってくれて」
じゃあ服のセンスとかもダンブルドアゆずりだったんだ。
あの幼少期+デスイーターで、こうはならない。
「諜報活動にいろいろ格好は必要だったから」
「その時も、帰りに呑んだんですか」
スネイプは小さくうなずいた。
目はぎゅっと閉じられている。

えーっと。ペロリ。かなあ。
えーっと。ダンブルドアの裏情報を知ってしまって以来、ハリーはどーも変な疑いをかけてしまうのだった。
いやいや、振り払う。
「そのときもベロベロですか」
「うむ……ダンブルドアの姿あらわしで学校に戻って、あわてすぎて駆け込んだのが……間違えて、3階の女子トイレに……」
マママママママーっ!!!
「旧友の悲鳴が……」
ああ……学生時代、馴染みだったんだ。
また納得。

「その後ダンブルドアが校長室に連れて行ってくれて、ベッドに」
…………。
「妙に甘やかしてくれて……、水くらい一人で飲めるのに……。
 申し訳ないから逃げ回ってしまって……ボウルだと思ったら……ペンシーブだった……」
ちょ、ちょちょ待って。あの。え?
「だがそのまま床に転んで、結局眠ってしまった……ダンブルドアに申し訳ないことをした……」
え? 僕もアレ首突っ込んだんですけど。
今日からゲロまみれのおスネでいいですよね?
「気づいたら翌朝で……私は校長のベッドで目を覚ましたのだが……」
あばばばばばばばば。
「ダンブルドアは床で寝ていた」
スネイプは思い出すのも申し訳ない、という風に目頭を押さえた。

「いや、も、ぜんぜんいいと思います。むしろ危なかったですね」
「?」
「いえ……」
ハリーはまた肩を貸して、スネイプを部屋まで連れて行ってあげた。
その後街でスネイプが買った本を片付けるために書斎に入ると、パソコンがついていた。
クリーチャーが使ったままになっている。
僕達が帰ってきたときそのまま飛んでこさせちゃったんだな。
モニターには、mixiの画面が映し出されていた。
ユーザー名『クリちゃん』で。
そりゃ、ねえよ。

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