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  <title type="text">ぞりんばれんと</title>
  <subtitle type="html">拍手返信は、サイトの左下メニュー一番下の返信板にします！
開始時あまり考えていなくて、返信場所が分散していて申し訳ないです……。</subtitle>
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  <updated>2007-12-24T12:18:08+09:00</updated>
  <author><name>ぞり</name></author>
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    <published>2012-01-28T17:44:36+09:00</published> 
    <updated>2012-01-28T17:44:36+09:00</updated> 
    <category term="小品" label="小品" />
    <title>時にはシリスネの話を[4/4]</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[シリウスは冷えていく暖炉に手を触れた。<br />
灯りを消して、階段を進みながら何を嘲ってか鼻で笑った。<br />
自室と差し向かいの戸に、神経の細そうな字で、奴なりの人払いがしてあった。<br />
まったくあいつもこいつも、女みたいな字してやがって。<br />
彫りつけてある名前を撫で、禁を破ってドアを開く。<br />
このくらい、兄弟なら喧嘩をすれば済むだけだった。<br />
<br />
シリウスは息を詰まらせた。<br />
ぼろ屋敷のはずが、この部屋だけは、嘘のように綺麗だ。<br />
誰も立ち入らなかったからなのか。<br />
いや、そんなはずはない、埃ひとすじすら。<br />
<br />
オレが壁に若気のいたりで永久粘着呪文をかけている間に、永久清潔呪文でも研究したのだろうか。<br />
だとしたらいかにもスリザリンらしい、ねちねちした潔癖だが、理論的に可能か？<br />
<br />
なぜかこの部屋だけ妖精さんがどうにかしてると考えた方がまだましだ。<br />
アホらしい。<br />
<br />
壁という壁、棚という棚。<br />
真緑のスリザリン旗、紋章、寸分違いなく、死喰い人に関する新聞のスクラップや、当時のクィディッチチームの写真が並んでいる。<br />
オレが応援してたチームのライバルチームに、レギュラス本人が所属していたスリザリン寮のチームも。<br />
写真の中で学校のユニフォームに身を包む集団が親しげに微笑みあうと、無性に目から何かがこぼれた。<br />
<br />
レギュラスが、チームに選ばれたのを知ったのは、新人投入試合が行われてからだった。<br />
当然グリフィンドールチームにはジェームズがいて、スリザリンを打ち負かして自信満々に笑っていた。<br />
談話室で、兄にすらギリギリまで隠すとは、なんと卑怯なことだ、と陰口を言っていた。<br />
<br />
本当は、言えなかったのか。<br />
書棚には、綺麗に使っているが、書き込みいっぱいの教科書や参考書がずらりと並んでいる。<br />
でもあいつの成績は、なにもしていないオレより低かった。<br />
やっと誇れることができたのに、それさえオレの大好きなジェームズとの敵対を表すことでしかなかった。<br />
<br />
そんなことないよな。<br />
あの年こそ誰も入らなかったけど、グリフィンドールだって、いつもは当日まで新人のことは隠してた。<br />
今更ながら、誰にとっても当たり前のことだったよな。<br />
<br />
寮の違うオレたちが一緒にいなかったのも、当然だったよな。<br />
兄弟だからって、優しくしなかったことも。<br />
<br />
フォトフレームを持つ腕から心臓めがけて、濁流が流れたようだった。<br />
<br />
偉そうに説教たれたスネイプは、成せることがあるからああ言い放てる。<br />
本当に何もできない行き止まりでは、退路も絶たれて身動き取れない。<br />
濁流が心臓から血管を通って、目から噴き出しているとしか思えなかった。<br />
その苦しさすら、誰にも認識されることないなら、存在が始まらないんだろ？<br />
<br />
<br />
リーマスには苦悩が多すぎて、他の誰も近くに来なくて、<br />
ぼんぼんで一人っ子で甘やかされて常に能天気なあいつは最高だった。<br />
<br />
だから今のオレは最低だ。<br />
愚痴なんかよりもっとまともな理由で生存を願われたかったろうよ。<br />
<br />
<br />
首を振る。<br />
クローゼットの中には、学校指定のキャリーケースの上に、<br />
大きな箱のような、指の練習用の持ち運び鍵盤が鎮座していた。<br />
つかの間の夏休みの間に、役割を待っているように。<br />
<br />
蓋を開けると、数は足りないが鍵盤が並んでいる。<br />
キーを叩くが、小さい頃からろくに練習もしなかったオレからは曲など出てこなかった。<br />
アルペジオ、スケール、指はもつれる。<br />
それに、練習用鍵盤から音はしない。<br />
何を訴えかけても、オレには音感のストックがないから、答えがない。<br />
打鍵音を響かせて、自分の頭蓋にだけ音を満たして、レギュラスはこれでいったい何を弾いたのだろう？<br />
家に帰ると互いを待ち構えていたとばかりに夏中ピアノの音がするもので、不思議と嫌じゃなかった。<br />
でも合唱部には、入ってなかった。それくらいは知ってた。<br />
<br />
オレがちょっと部屋でがなっていたマグルのロックも、あっという間にレギュラスの手から流れ出した。<br />
クラシックの練習曲じゃないので両親は首を捻っていたけど、何も知らないからレギュラスのピアニスティックなアレンジに「良い曲ね」と頷いていた。<br />
それを見たときは実に痛快だったな。<br />
最初聞いたときはなんの曲か分からなかった。<br />
<br />
レギュラスは、ある日隣に立ったオレのために、連弾譜を書いた。<br />
柄にもなく、真面目にピアノに向かって、オレが右に座ってメロディーを奏でた。<br />
爽快だった。<br />
でもただ、両親が喜んでいたからやめた。<br />
それ以来、レギュラスはもうこの曲を弾かなくなったんだ。<br />
<br />
再現せむと部屋を踏み出し、兄弟のために買い換えられた客間のピアノは、蓋を開けるだけで、酷い引っ掻き傷のような音がした。<br />
しかし、音が狂っていても、オレにはどうせわからない。<br />
一つしかなくなった椅子に腰かけ、右手を鍵盤にかざす。<br />
右寄りに座っているから、左の空間がひどい。<br />
<br />
一番好きなサビのところだけ、はじめは弾けた。<br />
試行錯誤しながら、徐々に思い出す。<br />
左手で似合う和音を探し、リズムにのせて。<br />
<br />
当時よりさらに四苦八苦しながら、なんとかすべてのメロディーを再現した。<br />
ハンマーか何かのバランスが狂っていて、ときどきやたら大きな音がたった。<br />
それでもなんとか形にしたその曲は、記憶の中にあるよりずっと簡素だった。<br />
非常に物足りない薄さだった。<br />
誰の心にも響かなそうなつまらない音は、かわりにオレの心をえぐってた。<br />
<br />
あの爽快感、多幸感、全能感は、レギュラスの低音部に裏打ちされていただけにすきなかった。<br />
そうと気付いてしまっては、オレは客間を飛び出した。<br />
ピアノの音で、母親の肖像が涙を流していた。<br />
<br />
それで逃げた先はダイニングでも、まだすすり泣きが聞こえた。<br />
びくりとして、声の主を探したが、見つからない。<br />
この、低い角笛のような声はクリーチャーだ。<br />
シリウスは耳を塞いだ。<br />
<br />
指が頬をかすめ、スネイプにつけられた切り傷をようやく思い出した。<br />
そういえば、やつに消された記憶は？<br />
暗い部屋であったことは全部覚えている。<br />
それよりも、脱衣所でうなされるように言っていた言葉。<br />
あれだけが思い出せない。<br />
どういうことだ？<br />
<br />
言われたとおりに水薬を塗りこんだ。<br />
どうやら本当に実際の傷には効果覿面らしく、皮膚の凹凸がすぅっと失せる。<br />
<br />
小瓶の繊細な彫り細工が、清廉で美しい百合の模様をかたどっていたことに今更気がついた。]]> 
    </content>
    <author>
            <name>ぞり</name>
        </author>
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  <entry>
    <id>zorizori.blog.shinobi.jp://entry/359</id>
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    <published>2012-01-28T17:35:28+09:00</published> 
    <updated>2012-01-28T17:35:28+09:00</updated> 
    <category term="小品" label="小品" />
    <title>時にはシリスネの話を[3/4]</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[暗いキッチンに灯をともし、小鍋を開けるとスープが待ち構えていた。<br />
うっすらほどよく油分の浮いた、薄黄透明のスープのなかに、小さく切ったベーコン、ニンジン、ジャガイモ、上出来ではないか。<br />
シリウスは、プリンのうまさから野壺に突き落とされた味覚の口直しにと、杖の先から青い火をさし、かまどを温め始めた。<br />
いざ器に装わんとしたとき、キッチンの戸が静かに開けられた。<br />
よりによらなくても、スネイプが入ってきて、滑るように鍋の元まで歩いてくる。<br />
シリウスはおたまを剣のように構えた。<br />
「何しに来やがった！」<br />
スネイプは冷静そのものでシリウスの手からおたまを抜き取り、ボウルもいただき、ごく普通に席についた。<br />
指差しひとつで棚からスプーンをとりだし、片手で前髪を耳にかけながら食事を始めた。<br />
おたまが手の中に返されていたことにはっと気づいて、シリウスはモリーが出してくれていた二つ目のボウルに、スープを流し入れた。<br />
コンソメがふわりと香る。<br />
<br />
「それオレが最初にとった器奪うな！ 返せ！」<br />
新しく装ったスープを突き出す。<br />
「交換すりゃ問題ないだろが」<br />
「もう口をつけたが」<br />
「お前だってオレが食ったプリン食べたろ！」<br />
「気持ちの悪いやつだな」<br />
本当に気分が悪そうな顔でスネイプが言った。<br />
「キスした仲だろ！ あ てかオイなんでキスしやがったッ！」<br />
不思議そうな顔でスネイプはシリウスを見つめていた。頭の中が見透かされたような気分になる。<br />
「なんか言え！」<br />
スネイプは面倒くさそうに眉をひそめた。<br />
「オブリビエイト」<br />
「そういうことじゃねーし！」<br />
シリウスは、はたと停止した。<br />
宙に目を泳がせて、何が消されたか、最近の記憶を手繰っているようだ。<br />
「あ」<br />
急に表情を消す。<br />
「いっこ聞いていいか」<br />
「いやだ」<br />
シリウスは、綺麗な蝶が不気味な毛虫に変身のを見たような顔になった。<br />
「お前、学生時代、レギュラス知ってただろ。あいつが、学校上がってからどんなこと考えてたか、わかるか」<br />
「答える必要がない」<br />
「オレは一応、あの子の兄だったんだ」<br />
スネイプはいまいましげに深いため息をついた。<br />
<br />
「何を今更」<br />
独り愚痴のように呟いてから、けれど顔を上げてしっかりとシリウスを見据えて言った。<br />
<br />
「あの子がどうなったか、我輩は全く知らない。知っていたとしても、お前なんかが知る権利はないし、今更知ってもどうしようもない」<br />
シリウスは目を見開き、ひどくうちひしがれたように見えた。<br />
だが、ゆっくりとスネイプの向かい側の席に腰を落とし、かすれた声で言った。<br />
「お前に聞いてよかったよ」<br />
ぬるみ始めたスープを一口、ボウルから直接飲んだ。<br />
<br />
スネイプは不快げに下を向いた。<br />
レギュラスの遺体は見つけられていない。<br />
あの子は、いつもお前の背中を追っていたよ。<br />
<br />
シリウスが飲み下すのを待って、スネイプは洗い場に立った。<br />
ひゅんと鼻先を掠めたスープボウルを追いかけて、シリウスはスネイプの背後から腕をつかんだ。<br />
「オレがやる」<br />
「べつにいい」<br />
「お前まだ学校に仕事あんだろ」<br />
「皿の一枚二枚で大差あるまい」<br />
「二枚目のオレに任せておきゃいいんだよ」<br />
「二枚目犬、三枚割りてそれでお仕舞い」<br />
「んとにまだるっこしいなこの粘着質！」<br />
「そいつはとんだジャポニカ米。<br />
　明日朝モリーが一枚足りなーい」<br />
モリーはもう帰ったんだよ。一人分のプリンを作ってさ。<br />
「オレ三枚割ったんだろ？」<br />
「誤解だ」<br />
「五枚か」<br />
シリウスは言葉遊びに気をとられているスネイプの両手首を掴んだ。<br />
「ここで油売ってないで学校帰れ」<br />
「やかましい、離せ！」<br />
スネイプが乱暴に振りほどこうとするほど、シリウスは握力を強めた。<br />
「このヤロ！」<br />
「っ、」<br />
つるり、と白磁の器は指をすり抜け、床にぶつかって粉々になった。<br />
<br />
「最低だな。この年になって、暴力に訴えることしかできんか」<br />
仇敵をにらみ殺すようにスネイプは軽蔑の眼差しを向けた。(1年生のネビルなら死んでいたはずだ)<br />
握り締められた手首を一度さすって、ポケットから杖を取り出す。<br />
シリウスはその左手に触れ、袖を巻くろうとした。<br />
スネイプの肩が条件反射のように、大きく跳ねた。<br />
「いいかげんにしろ！」<br />
鋭い高音が一瞬して、銀色の輝きが、シリウスの頬に一筋の傷を作った。<br />
「オレは親切で皿洗ってやろうとしたんだろ！？<br />
　手痛めてないか見てやろうとしてんだろ！？ なんで攻撃されなきゃなんねーんだよ！」<br />
物音に反応して、物置からクリーチャーの呻き声がした。<br />
「必要ないと言った」<br />
スネイプは、努めて静かな声を出した。<br />
皿を魔法で元通りにしたところへ、シリウスが床にしゃがんで雑巾で泡を拭いた。<br />
唇を噛みしめて、目を何度もしばたかせていた。<br />
<br />
「学校、今オレついて行けないか」<br />
小さな声が震えていた。<br />
一転した振る舞いに、スネイプは眉間に皺をますます寄せた。<br />
「なんで父親がわりのオレが見てやれないのに、お前が毎日勉強教えてるんだ」<br />
「こちらとしては不本意なのだがな」<br />
二枚の皿を流しに置いて、スネイプは長いため息をついた。<br />
「なあ、ハグリッドのとこでファングといっしょに住むからさ、」<br />
「よした方がいいぞ、誰にも区別できなくなる」<br />
「面白くない冗談だな」<br />
「校長もそうおっしゃるだろう」<br />
と、歩いて行って椅子にかけていたマントから、薬瓶を放った。<br />
シリウスの手のひらの中に収まっている細いガラス瓶は、繊細な切り子の柄の溝に、血が入り込んでこびりついていた。<br />
「洗ってから一滴塗れ」<br />
シリウスが水色の薬液を瓶の中で転がすと、模様と反射して光がきらきら揺れた。<br />
<br />
薬の用法の補足のようにスネイプは言った。<br />
「葬式は遺されたもののためにある」<br />
シリウスは霧の向こうをいぶかる子供のように目を細めた。<br />
「義子のことであせるより、実弟の面倒をできる限り見切ればいい。<br />
　物事は認識されて初めて存在するのだから。覚えて認識していれば、命は終わっても存在は続く」<br />
「なるほどわからん」<br />
「気になるなら、お前の中でそれは終わっていないのだから、気がすむまで考えろ。<br />
　不幸中の幸いで、お前には考える時間がたっぷりとある」<br />
シリウスは、屁理屈で誤魔化されている気がして顔をしかめた。<br />
「言わんとすることは分かるが、もうどうしても意味がないじゃないか」<br />
それに、スネイプは講義を演じるように片手を翻しながら答えた。<br />
「つまりただの暇潰しだ。成すことを失っては、寿命は長すぎる」<br />
「センコーみたいなこと言いやがって」<br />
スネイプは初めて愉快そうに口角を上げた。<br />
「つまらんレポートの採点に行く」<br />
外には出るなよ、と言い残し、マントを片腕に抱えて、暖炉を潜って行った。]]> 
    </content>
    <author>
            <name>ぞり</name>
        </author>
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    <id>zorizori.blog.shinobi.jp://entry/358</id>
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    <published>2012-01-28T17:34:48+09:00</published> 
    <updated>2012-01-28T17:34:48+09:00</updated> 
    <category term="小品" label="小品" />
    <title>時にはシリスネの話を[2/4]</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[死喰い人を抜けて追ってに殺されたというあの子を、臆病者と切り捨てたのは正しかったのだろうか。<br />
少なくとも、あいつは悪の手から逃れようとしたのではないのか。<br />
なぜ『臆病』になった？<br />
ヴォルデモートの方針に恐れをなしたのではないのか。<br />
だから、さ。<br />
レギュラスはやっぱりあの頃から変わらない、ただの──。<br />
<br />
ただの、臆病者。<br />
そうだろ。<br />
シリウスは焦るように、スネイプの頭をローブに通した。<br />
<br />
ごめんな、レギュラス。<br />
兄さんなのに、守ろうとも、思いつかなかった。<br />
たぶんこれは何度も繰り返す後悔のひとつで。<br />
ブラック家との繋がりを保つための唯一の感情だった。<br />
『家族』であるための。<br />
<br />
レギュラスは、結局何を望んでた。<br />
<br />
スネイプの髪を乾かしてやり、客間のひとつに、ロコモーターとアパレイトで運んでやった。<br />
階段を降りて、モリーに伝える。<br />
まず驚いた顔をして、シリウスが介抱してやったことを聞くと、ことさら目から水晶玉でも落ちたような顔をした。<br />
失敬な。<br />
シリウスはそのままとろとろプリンにお預けをくらって、スネイプの元に運ぶハメになった。<br />
敵に塩プリンを送るような気分だ。<br />
<br />
<br />
スネイプは浅い呼吸を繰り返し、泥のように眠っている。<br />
「おい、起きて食えや」<br />
聞く耳を持たない語りかけは空しい独り言となった。<br />
何もできないくせに、とシリウスをいつも罵るスネイプは、そうしたくなるほど身をこなごなにするように働いている。<br />
知ってたよ。<br />
<br />
自分の家の中のくせに、薄青い闇では、たどたどしくしか、椅子やビューローを探し当てられなかった。<br />
ベッド脇に腰かけて闇のヴェールのようなスネイプの髪を睨む。<br />
なぜここまで不安なんだ？<br />
ずっと捩じ伏せてきたはずの恐怖が、今ごろ追いかけてくるのは。<br />
自室に溢れる過去の遺物たちが脳に侵入する。<br />
見られたくない、ハリーには。<br />
蓋をしていた矛盾に満ちた思考に、向き合わなければ大人になれない？<br />
パンドラの箱と知って誰が封を解くものか。<br />
最上階の、二部屋。<br />
<br />
椅子から少し腰を浮かせて、スネイプの額に触れる。<br />
冷たい。<br />
死ぬんじゃなかろうな。<br />
ヴォルデモートが(シリウスの)正義にとって致命的に危険だとは、認めざるを得なかった。つまり、ジェームズ。<br />
欺瞞だとシリウスはいつも疑っているが、オーダーに情報を流すスネイプの身の安全など、誰も保証できない。<br />
性質の悪い呪い？<br />
それともただ栄養が足らなさすぎて、目覚めることもできないのか。<br />
<br />
プリンを口に含む。<br />
お気楽な卵の甘さが舌に滲む。<br />
白雪姫。<br />
馬鹿げた縁語が浮かぶ。<br />
<br />
次の瞬間。<br />
この世のものに遭遇したとは思えない、切裂な悲鳴がこだました。<br />
「リディキュラス！ リディキュラス！」<br />
スネイプは杖なしに、渾身の呪文を放った。<br />
「あーぎゃああー」<br />
と、目の前に顔を付き合わせたまま犬の姿に変身し、シリウスは口で扉を開けて部屋を出た。<br />
<br />
姿を戻し、手の甲で額の汗を拭いながら扉に背をついた。<br />
とっさの判断、ベリーナイス。<br />
<br />
10数えて扉をノックする。<br />
「おいスネイプ、起きてるなら、モリーが置いてあるプリンか、降りてなんか食えって言ってたぞ」<br />
また返事がない。<br />
扉を開けようとすると遅い返事があった。<br />
「ブラックだな？」<br />
「ここはオレんちだからな」<br />
「暇ならボガート退治はしっかりした方が、身のためだぞ。<br />
　自宅ボガート退治屋になれ、貴様にとっては立派な仕事だろう」<br />
「うっせー」<br />
普段なら逆上するところだが、シリウスは胸を撫で下ろした。<br />
つか、アレやるオレもオレだが、信じるアイツもアイツだよな。<br />
<br />
「……このプリン食べかけのようだが」<br />
シリウスの額に、拭った先から冷や汗が吹き出した。<br />
そういやさっきのプリンはまだ微妙に口の中に残っていた。<br />
「デザインか幻覚だろ」<br />
「ちょっと来い」<br />
張りのよい頬に、叱咤される3秒前の詐欺師のようなひきつった笑みをたたえてシリウスは部屋に入り、スネイプに侍するように立った。<br />
人間、混乱していると、うっかり従ってしまうらしい、後々シリウスは後悔混じりに回想する。<br />
<br />
「屈め」<br />
「なんで」<br />
と、言いつつ、シリウスは、ベッドで半身を起こしているスネイプの顔を覗き込むような姿勢になった。<br />
「ムグェッ！」<br />
そして、頭の中がまっさらにクリアされた。<br />
スネイプの細腕が後頭部を掴んでいる？ ことだけは理解できた。<br />
「甘いな。犯人は貴様か」<br />
その声にシリウスが我に帰ると、スネイプはこともなげに唇を拭っている。<br />
言葉にならない悲鳴を挙げながら、シリウスはスネイプに人差し指を向けてぶんぶん振った。<br />
「どういうことだってばよ！」<br />
「恐怖はことごとく捩じ伏せねばならぬからな」<br />
これ見よがしにいやみったらしく笑う。<br />
「意味わかんねーよ！」<br />
「犬にはわからんこちらの話だ」<br />
いや、わかる。<br />
さっきの、血迷ったオレをボガートだと思ってるからみたいだが。<br />
あのなそこまでするかフツー！<br />
シリウスの急性頭痛など素知らぬスネイプは、プリンをつるつる食べ始めた。<br />
ボーっとしばらく眺めていたシリウスだが、突然背筋をシュキッと伸ばした。<br />
「オレお前なんぞに構ってる暇ないから下行くから！」<br />
送り出す言葉などかからなかったのが救いだった。]]> 
    </content>
    <author>
            <name>ぞり</name>
        </author>
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    <id>zorizori.blog.shinobi.jp://entry/357</id>
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    <published>2012-01-28T17:34:06+09:00</published> 
    <updated>2012-01-28T17:34:06+09:00</updated> 
    <category term="小品" label="小品" />
    <title>時にはシリスネの話を[1/4]</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[暖炉が緑の炎に包まれ、いかにもぐったりとしたスネイプが石枠を潜って出てきた。<br />
「あら、セブルスね」<br />
長机を拭きながら、モリーが振り返った。<br />
「お疲れさま、夜食はいる？」<br />
「いや、ミセス・ウィーズリー、報告を終えたらこのあとすぐ学校へ戻らねばならぬ」<br />
モリーは台拭きを折り返しながら言った。<br />
「顔色が真っ青よ、ダンブルドアの頼みなの？」<br />
「そうとも言える。課題レポートの採点だ」<br />
机に向いているモリーの背中からため息が聞こえ、スネイプは眉尻を下げた。<br />
「切羽詰まっているのでなければ、食べてお行きなさい。シャワーを浴びたら出来ているくらいよ。プリン好きでしょ」<br />
口の中でモゴモゴと言いかけたスネイプをピッピッと追いたてて、モリーは鼻唄の続きを歌い始めた。<br />
これだから、赤毛で世話焼きの女性は苦手だ。<br />
スネイプはキッチンの戸を閉めながら、けれど、どうしても口許が綻んでしまった。<br />
プリン。<br />
<br />
モリーが卵をかき混ぜていると、キッチンの戸からまた別の黒い頭がひょっこり顔を出した。<br />
「どうしたの？」<br />
「食事じゃないのか？」<br />
モリーは首をかしげた。<br />
「においがしたから」<br />
「まったく、犬の嗅覚ね」<br />
シリウスはふふんと鼻にかけて笑った。<br />
「ほめてないわよ」<br />
ぴしゃりと言われ、シリウスの美しいうなじがくたりとうなだれた。<br />
「夜食が必要な人がいるの」<br />
「ああ、誰か来たようだな、暖炉が熱をもってる」<br />
「今シャワーなんだけど、タオルや服を持っていってあげてくれない？」<br />
「あー」<br />
シリウスはモリーの手元にチラリと目をやった。<br />
「中年なんだからいい加減太るわよ」<br />
「やかましわ！」<br />
モリーは笑いながら肩をすくめた。<br />
「なにかつくってあげるから、頼まれてちょうだい」<br />
「オーケー」<br />
シリウスは腰に片手をあてた。<br />
「で、そいつはだれだ？」<br />
「セブルスよ」<br />
<br />
<br />
シリウスは背中を丸めながら、長い足で自分の屋敷の廊下を闊歩していた。<br />
アーサーに挨拶して、予備のローブをもらって、置いてくるだけの簡単な仕事だ。<br />
業務外でクリーチャーのゲロをトッピングしてもいいが、モリーが怖いからやめておこう。<br />
<br />
「おいっ、タオル類置いたからな！」<br />
と、犬の脚力で即引き返そうとしたシリウスの背に、ガターンと派手な音が追いかかった。<br />
<br />
今の音、風呂からしたよな。<br />
トンズラこくか否か、シリウスは躊躇した。<br />
風呂からは、もうシャワーの水音以外、何も聞こえない。<br />
「おい」<br />
基本的な正義漢体質、あるいは好奇心が、シリウスを振り返らせた。<br />
脱衣場から、風呂の扉を叩く。<br />
「おい！」<br />
返事はない。<br />
磨りガラスから、ぼんやりと、低い位置に肌色が見える。<br />
「入るぞ！」<br />
内側から鍵がかかっていた。が、子供時代の経験で、外側から鍵をひねることが、シリウスには出来た。<br />
もどかしい手つきで解錠すると、やはり、床に横たわるスネイプの姿があった。<br />
「人んちの水道無駄に使うなっつの！」<br />
霧雨のような水勢に打たれながら、血色の悪い肢体が投げ出されている。<br />
うつ伏せの顔を、なんとか腕が庇っていた。<br />
<br />
シャワーを止め、床に膝をついた。<br />
暖かい湯がズボンに伝わってくるが、気にもできずシリウスはスネイプの頬を軽く張った。<br />
「も、もーしもーし！」<br />
肩を揺する。シリウスの頭の中は真っ青になっていた。<br />
「す、スニベリーちゃんはお返事もできまちぇんかー？」<br />
返事がない。<br />
「屍のようだ……」<br />
たまらずシリウスはスネイプの上体を引っ張り起こした。<br />
浮いた肩胛骨が指に固く当たり、眉がきゅっとひそめられて苦しげだ。<br />
筋ばった手首を掴んでみると、ぴこぴこと動くものがある。<br />
ひとまず、シリウスは息をついた。<br />
<br />
だが、スネイプが目を覚ます気配はない。<br />
太古、マグル学で習った知識がシリウスの胸に去来した。<br />
「……人工呼吸？」<br />
いやいやいや、目を覚ますのは自分の方だ！<br />
持ってきたタオルを棚から取って、スネイプの身体を包む。<br />
重い、が、元来(犬並みの)筋力のあるシリウスには、魔法を使うか、微妙なところだった。<br />
まあいいか、と骨っぽいスネイプを横向きに抱え上げる。<br />
「やっぱ重いわ……」<br />
脱衣場まで運んで、シリウスは諦めた。<br />
一応、ゆっくりと低姿勢に……。<br />
「あ、ごめん」<br />
手が滑って、やっぱり落としてしまった。<br />
壁や棚にあちこちぶつかった音がする。<br />
なんとなく、ルーピン教授狼化事件で、縛り上げて適当に頭ゴンゴン運搬していたことを思い出す。<br />
「うぐ……」<br />
スネイプがうめいた。<br />
怪我の巧妙だな。いやあ、さすが天才歴35年、オレ。<br />
濡れた目蓋を開こうとする。夢うつつ、といった感じで、言葉をつむぐ。<br />
「君の……息子は立派に……」<br />
「あがっ！？」<br />
な、なんでオレのムスコの話が出てくるんだろう。<br />
ご立派？ あ どーも。<br />
青春歴も35年なので、シリウスは完全にドギマギしていた。<br />
スネイプはもう一度意識を手放した。<br />
気休めまでに触れたままだったシリウスの手に、身を預けるように……。<br />
(少なくともシリウスにはそう感じられた)<br />
な、なんだ、オレがたびたび頭を打ったせいで、こいつさらにおかしくなったのか！？<br />
<br />
ところで、万年肉不足のスネイプの身体が、急速に湯冷めして行きつつあることに、シリウスは気づいた。<br />
ごくり、となぜか生唾を飲む。<br />
コレ丸投げして頼める人、いねえ。<br />
テキトーに扱ってこれ以上頭を打たせるとまずい気がした。ダンブルドアに大目玉食らう。<br />
OWLやNEWTの試験前よりは少なくとも嫌な気分だ。<br />
<br />
しかし、完璧超人オトナなオレ、ここで挫けりゃ男が廃る。<br />
いいか、女の子だと思え。<br />
<br />
白い(血色不良の)肌。<br />
細い(栄養失調の)体。<br />
長い(延び放題の)髪。<br />
<br />
シチュエーションとしては、虚弱体質の白雪姫ちゃんが、シリウスの体力についてこられず、意識を手放してしまったわけだ。<br />
オレの美しく長い指が彼女の……オエー。無理だった。<br />
万年青春(思春期)野郎のシリウスの妄想力を持ってしても、スネイプの体に萌えることは不可能だった。<br />
この方向性は駄目だ。<br />
介護？ 親に親切してやる義理もなし。(こいつにもないが)<br />
こんなこと、面倒見たりなんか、<br />
レギュラスにしか。<br />
したこともないし、今後誰かの世話なんて、結婚もしそうにないし、なら、ハリーあたりの子供か？<br />
つーか誰との子？<br />
想像もつかなかった。]]> 
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    <author>
            <name>ぞり</name>
        </author>
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    <id>zorizori.blog.shinobi.jp://entry/356</id>
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    <published>2011-09-24T16:41:52+09:00</published> 
    <updated>2011-09-24T16:41:52+09:00</updated> 
    <category term="小品" label="小品" />
    <title>ママとお父さんとセブルス[イラスト]</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<a href="//zorizori.blog.shinobi.jp/File/sevsfamily.jpg" target="_blank"><img src="//zorizori.blog.shinobi.jp/Img/1316850073/" border="0" alt="" /></a>]]> 
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            <name>ぞり</name>
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    <id>zorizori.blog.shinobi.jp://entry/355</id>
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    <published>2011-09-24T16:35:28+09:00</published> 
    <updated>2011-09-24T16:35:28+09:00</updated> 
    <category term="小品" label="小品" />
    <title>ママとお父さんとセブルス［4/4］</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<strong>青年期　セブルスとママとお父さん</strong><br />
<br />
セブルスは、ホグワーツ魔法魔術学校に進学し、休暇以外はスピナーズエンドに帰らなくなった。<br />
5年生を過ぎてからは、地元でもリリーと顔を合わせることが出来なくなっていた。<br />
<br />
<br />
大の男一人を埋めるには浅すぎる穴の中、父の亡骸の上に母は酒を振り撒いた。<br />
思えば昔から夫婦喧嘩の争点は飲酒であることが多かった。<br />
父はいつもわずかな給料を持って帰るとき、一緒に酒瓶を抱えていた。<br />
「何もあまり好きじゃない男が、唯一自分のために買っていたものなのにね」<br />
母は赤い鼻をしていた。<br />
<br />
<br />
父の死因は過労だった。<br />
仕事中に倒れて病床にあった父。<br />
お金が無いから治療までは受けられなかったが、アル中だろうと吐き捨てた母に、医者は首を振った。<br />
<br />
ついでに母もひどい栄養失調だそうだ。<br />
セブルスはホグワーツで過ごしたおかげで危険なほどには痩せていなかったけれど、医者は家族の栄養状態の差から何か勘違いしたようで、「これからは君がお母さんをちゃんと支えてあげるんだよ」と悲しそうに諭した。<br />
もちろん強ち完全に間違いだとは言えない。<br />
こんな町の医者なので、やっぱり彼も継ぎ接ぎだらけの白衣を着ていた。<br />
その言葉を横で聞いていたときの母の表情が忘れられない。<br />
<br />
<br />
「葬式なんか出せないから、焼いてしまおうと思うけど、薪もないわ」<br />
母はゆらゆらと家に入っていった。<br />
彼女は今どうなってもおかしくないように見えたので、セブルスは静かに後についた。<br />
ベッドの下に隠してあった古い古い木の本箱から、母はほこりと蜘蛛の巣にまみれた杖を取り出し、自慢するように掲げて振り返った。<br />
セブルスは、自分が居るのに気づかれていたことに驚いた。<br />
細くて綺麗な杖だった。母のガリガリの指や手足も、さすがにこの杖には負けている。<br />
<br />
母に倣って、セブルスは穴の中の父の遺体に杖を向けた。<br />
「インセンディオ」<br />
二人の声が重なった。<br />
死体は一瞬で燃え上がった。<br />
アルコールを被っていたせいもあるだろう。<br />
煙に噎せ返りながら、セブルスと母はじっと炎を眺めていた。<br />
スピナーズエンドの煙突の煙と、空で絡み合って消えていくのだろう。<br />
<br />
「煙が目にしみて」<br />
火がはじける音にかき消されないように、何故か母は大きな声を出した。<br />
実際のところ、彼女がどんな様子か、燃え盛る火炎と煙のせいでよく見えなかった。<br />
セブルスは堪らなくなって、穴を掘るときによけておいた土の山をレダクトで吹っ飛ばした。<br />
穴に土が被さると火は消えた。<br />
埋まってしまった穴の前で、母はセブルスを見ずに呟いた。<br />
「なぜこんなことをするの？」<br />
自然に消火した後の穴の中を見たくなかった。母に見せたくなかった。<br />
節っぽい母の折れそうな手を無理に引いて、セブルスは家に入った。<br />
<br />
それから数日は、母はずっと憔悴しきりで、話しかけても返事が無かったし、食欲も消え失せているようだった。<br />
それでもセブルスは医者から言われたことを思い出して、バリバリに固まった食事パンを、外の蛇口から汲んできた水に浸して、母の口にねじ込んだ。<br />
せめて、少しでも家事が出来たら。<br />
セブルスは家のために何もしてこなかった。<br />
<br />
やがて、母はセブルスの方をしっかり見て話せる元気が出てきて、食卓の一番明るい席に座って、一日を過ごした。<br />
かつての自分の勉強特等席に着かれていることが、セブルスの心を少し和ませた。<br />
次の朝、母は、自分の部屋から出てきたセブルスに気づいて笑いかけた。<br />
「出かけてくる」<br />
「いってらっしゃい」<br />
母の今の仕事場がどこにあるかすらセブルスは知らなかった。<br />
延々と人に尋ねながら、父の死亡を届け出る方法はわかった。<br />
しかし結局、忌引きの休職については、説明する相手を持たなかった。<br />
<br />
リリーは結婚をするそうだ。<br />
学生時代、散々セブルスを痛めつけぬいたジェームズ・ポッターと。<br />
学校の廊下で婚約の噂話を沢山聞いた。うんざりだった。<br />
<br />
どっと疲れて家に帰ると、玄関先のどぶのような土の辺りで、何かが激しく燃えていた。<br />
セブルスは慌てて走り寄って、その火に飛び込みそうになった。<br />
火炎の隣に、盛り上がった土山がある。<br />
セブルスはその場に立ち尽くした。<br />
<br />
辺りが暗くなってから気づいたときには、脚が地面にへたりこんでいて、いつの間にか劫火が消えたその穴の中には、二人分の人骨があった。<br />
血と肉を減らしてしまうと、二人は元の体積を失って、浅い穴に収まっていた。<br />
<br />
母は最初の穴を掘るのに、セブルスに手伝わせてくれず、手作業ですべてをこなした。<br />
年老いていく自分が足手まといにならないように、燃え残った小さな小さな墓穴を埋めることしか遺してくれなかった。<br />
母は死の呪文を使わなかったのだ。<br />
炎の魔法よりも、一瞬で事が済んで、楽なのに。違法な事は。<br />
父母は間違ったことはしても、いけないことは、しない人たちだった。<br />
<br />
でも、間違ったことは確かにしたのだ。<br />
それなのに規律に従うことに何の意味がある？<br />
セブルスの左腕が業火にあてられたように熱くなり、袖をまくると、蛇の巻きついた骸骨の刺青が、黒々と光っていた。]]> 
    </content>
    <author>
            <name>ぞり</name>
        </author>
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    <id>zorizori.blog.shinobi.jp://entry/354</id>
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    <published>2011-09-16T22:05:36+09:00</published> 
    <updated>2011-09-16T22:05:36+09:00</updated> 
    <category term="小品" label="小品" />
    <title>ママとお父さんとセブルス［3/4］</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<strong>少年期　お父さんとセブルス</strong><br />
<br />
セブルスはお父さんとはなるべく顔を合わせないようにして生きていた。<br />
自分がいても、父母はけんかをやめない。<br />
セブルスのことが原因で言い争うようなこともあった。<br />
だから、夜、お父さんが家に帰ってきてからは、自分の部屋のベッドで、いないごっこをしているほうが、ずっと効率的だった。<br />
<br />
夕方公園から戻ってくると、セブルスはこっそりママのベッドの下の木箱をあけて、積み上げられた一冊一冊の本のほこりをていねいにはらった。<br />
その後、今日よむ教科書をえらんでリビングへ行った。<br />
リリーがチャームのまほうについて知りたいと言っていたから。<br />
<br />
リビングが、一番日当たりがよくて明るい。<br />
誰もいない時間だし、西日だけど少なくとも、うすくらやみよりは、文字がよく見えた。<br />
<br />
｢セブルス｣<br />
ゆうれいのような声に、セブルスの肩ははねあがった。<br />
セブルスはあわててもっていた本をせなかに回した。<br />
声と同じくゆうれいのような顔をして、セブルスのお父さんは小さな食卓のいちばん日のあたらない席に腰かけ、大きなビンを片手にちびちびやっていた。<br />
<br />
｢今日は工場の機械がこしょうして、はやくに帰ったんだよ｣<br />
｢そう、おかえりなさい｣<br />
セブルスは、本を体のかげになるほうの手に持って引き返そうとした。<br />
｢セブルス、おいで｣<br />
お父さんはガラガラにかすれた声で言った。<br />
セブルスはお父さんが指さしたとおりにした。<br />
お父さんのとなりの席につくと、セブルスのかるい体でも、いすはきしきしといたそうにないた。<br />
お父さんはビンの中の残りを気にしていたので、セブルスは本をいすにおいて、その上に座ることができた。<br />
<br />
｢セブルス、ほら、これをのんでごらん｣<br />
お父さんは、いつものんでいる大きなビンを、そのままセブルスにさしだした。<br />
｢ねえ、お父さんはこれがすきなの？｣<br />
｢あんまり｣<br />
お父さんがうなだれると、ビンの中の液体がすこしセブルスの手にたれた。<br />
つめたくて強いにおいがした。<br />
家のちかくの川より、ずっといやなにおいがした。<br />
<br />
｢さあ、セブルス、ぐいっといけ｣<br />
お父さんはあかるい声を出して、｢イッキ、イッキ｣と手をたたいた。<br />
お父さんが大きな声で話したので、黄色い歯のすきまから、ビンからするのと同じにおいが、むわっと、なまあたたかくセブルスの顔にかかった。<br />
そんなにいやなにおいでもないような気がしてきた。<br />
セブルスが大きなビンに両手を両手をそえると、お父さんはビンの底をぐっとかたむけて、セブルスの口にどっと液体を流しこんだ。<br />
<br />
さいしょ、口のはしから液体がだらだらと流れていったけれど、セブルスはこれがとてもお金のかかるものだとしっていたので、一生けんめいのみこんだ。<br />
火をのみくだしたようだった。<br />
<br />
｢セブルス、いいぞいいぞ｣<br />
お父さんはにかにかと笑っていた。<br />
セブルスはとうとう目をあけていられなくなって、床にひっくりかえった。<br />
ないぞうもせなかも、体じゅううらがえったようだった。<br />
<br />
｢この本はなんだ！　またずるい魔女の入れぢえだな！｣<br />
セブルスがいすからおちたので、お尻の下にかくしていた本がばれてしまったのだ。<br />
｢アイリーン！　アイリーン！｣<br />
お父さんはわめきちらした。言葉にもなっていなかった。<br />
それをたしかに聞いていたが、セブルスの意識はしずかにきえてしまった。<br />
<br />
ばんと扉の音がして、ママのひめいが聞こえた。<br />
｢なにをしているのトビアス！　セブルス？　セブルス！｣<br />
いすを全部けたおして、ママがセブルスのかたわらにひざをついた。<br />
｢あああ！｣<br />
お父さんが頭をかかえてさけんだ。<br />
よごれた髪をふりみだしながら、セブルスをよこだきにして、ママが開けたままだったドアをかけ出した。<br />
家のよこの共同じゃぐちのホースから、セブルスの口にいきおいよく水流がつっこまれた。<br />
<br />
｢おまえが、おまえがへんな本を読ませるのがいけないんだ。<br />
　まほうなんて、ずるだ。ひきょうだ。うそだ｣<br />
セブルスのおなかは水でぱんぱんにされた。<br />
お父さんはずっとぶつぶつ言っていた。<br />
｢いいじゃない！　それでこの子がホグワーツへいったら、くいぶちがひとり減るんだよ！<br />
　あなたはそれでまんぞくでしょう！｣<br />
ママがかみつくようにさけんだ。<br />
むせこんだセブルスを、お父さんは乱ぼうにうつぶせにして、むねをひざにのせて、せなかをたたいた。<br />
セブルスがゲーゲーやっているあいだ、お父さんは、｢アイリーン｣｢セブルス｣と名前をくりかえし呼んでいた。<br />
ママはヒステリックなたかい声で何か言っていた。<br />
もう水まみれになりすぎていて、お父さんの目からこぼれたあたたかい水がなんだったか、セブルスにはわからずじまいだった。]]> 
    </content>
    <author>
            <name>ぞり</name>
        </author>
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    <id>zorizori.blog.shinobi.jp://entry/353</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://zorizori.blog.shinobi.jp/%E5%B0%8F%E5%93%81/%E3%83%9E%E3%83%9E%E3%81%A8%E3%81%8A%E7%88%B6%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%A8%E3%82%BB%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%B9%EF%BC%BB2-4%EF%BC%BD" />
    <published>2011-09-08T21:51:15+09:00</published> 
    <updated>2011-09-08T21:51:15+09:00</updated> 
    <category term="小品" label="小品" />
    <title>ママとお父さんとセブルス［2/4］</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<strong>幼年期　ママとセブルス</strong><br />
<br />
ママはきっと気づかないだろう。<br />
この時間なら、お父さんは出かけていて、ママだけが家に帰ってきている。<br />
台所の窓から中をのぞいて、目があったらほほええもう。<br />
ぜったい僕だってわかりやしない。<br />
だって、スカートの下がすーすーするから。<br />
いま僕は性別さえちがう格好をしているんだもの。<br />
<br />
セブルスは背筋をしゃんとして、手はかるくにぎって、いいお家のねこのように優雅なつもりで歩いた。<br />
家のそばのながい煙突が、灰色いけむりをもうもうとはきだしている。<br />
<br />
もし。<br />
もしほんとうに気づかれなかったら？<br />
家の中の蜘蛛のすや、蠅を見るような無関心な目をされたら？<br />
<br />
セブルスは伸ばした背すじがぞっと冷えるのを感じた。<br />
肩をちぢこまらせて、唇をかんで、それでもセブルスは歩くのを止められなかった。<br />
住みなれた家がちかづくにしたがって、胸の中で不安がどんどん大きくなっていく。<br />
<br />
ママが、表情もくっきりわかるほどの距離になったとき、手におけをもって家から出てきた。<br />
思わずセブルスは体をすくめた。<br />
すぐにママは近所共同の外じゃぐちではなく、セブルスのほうをくるっと向いて、ギョロっとした目を大きく開いた。<br />
｢セブルス！｣<br />
ママはおけを放り出して、ずかずかとセブルスのところまで歩いてきた。<br />
｢ぬすみを！　悪党をやっちゃいけないと、さんざん言ったでしょう！｣<br />
ママは恐ろしい声でさけんだ。<br />
ぎしぎしの黒髪をふりみだして、セブルスの頬をはった。<br />
セブルスの手首をつかんで、リリーのきれいなワンピースをひっぱって脱がせはじめた。<br />
<br />
｢やめて、ぬすんでない！　ともだちに借りたんだ！｣<br />
｢ちがう！　おまえにともだちなんているはずがない！｣<br />
｢脱がなきゃいけないなら自分で脱ぐから！　リリーの服が破れちゃう！｣<br />
セブルスは金切り声をあげた。<br />
ママはえいようしっちょうの細い腕でセブルスの胸ぐらをつかんでひっぱってから、セブルスをつきとばした。<br />
セブルスはうしろにふっとんで尻もちをついた。<br />
リリーの服が土ぼこりにまみれる。<br />
<br />
｢それに女の子の服なんて！　汚らわしい商売をして、かけいを助けてくれるつもりかい！｣<br />
ママは今度はセブルスの髪をわしづかみにして、家まで歩いていこうとした。<br />
リリーにくくってもらったふたつ結びがぐしゃぐしゃになる。<br />
髪どめはうばわれてママのポケットに入れられた。<br />
セブルスはリリーの服が地面にひきずられないように、ひっしに立ち上がって、足をぐちゃぐちゃにもつれさせながら、ママに引っぱられていった。<br />
<br />
家に入るとセブルスはすぐにワンピースを脱いだ。<br />
ママはいらいらと首をふりつづけている。<br />
セブルスができるかぎりじょうずにたたんだワンピースを、ママはひったくって、台所へ行ってしまった。<br />
<br />
セブルスが下着だけのまま玄関にうなだれて立っていると、ママがスープをはこんできた。<br />
ママが工場をぬけだして、わざわざ毎日おひるにいちど帰ってくるのは、そのためだ。<br />
｢いつものおけを外に放り出してしまったままだから、今日はうちの水道をつかっちゃったわ。まだとまってないの｣<br />
ママはリリーのワンピースを持っていなかった。<br />
<br />
｢セブルス、自分の服はどうしたの｣<br />
｢公園の木の下においてきた｣<br />
ママはセブルスの向かいがわに座っていたが、頬づえをついて見ているだけだ。<br />
いつもそうなのだ。<br />
ママはぱっと立ち上がって、台所まで行ってまた玄関を出て行ってしまった。<br />
セブルスはママのほうを見ることができなかった。<br />
<br />
次の朝、セブルスのきらいないつもの服は、ちゃんとセブルスのかたいベッドの足がわにおかれていた。<br />
そして、公園に行ってみると、リリーの服と装飾品は、いつもの木の太い根の上に、きれいにそろえてたたんであった。]]> 
    </content>
    <author>
            <name>ぞり</name>
        </author>
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    <id>zorizori.blog.shinobi.jp://entry/352</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://zorizori.blog.shinobi.jp/%E5%B0%8F%E5%93%81/%E3%83%9E%E3%83%9E%E3%81%A8%E3%81%8A%E7%88%B6%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%A8%E3%82%BB%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%B9%EF%BC%BB1-4%EF%BC%BD" />
    <published>2011-09-08T14:40:20+09:00</published> 
    <updated>2011-09-08T14:40:20+09:00</updated> 
    <category term="小品" label="小品" />
    <title>ママとお父さんとセブルス［1/4］</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<strong>幼年期　リリー</strong><br />
<br />
セブルスはくさい川のちかくに住んでいる。<br />
ママと、お父さんと、三人で暮らしていて、セブルスはかみがのびほうだいで服はつねにお下がりだ。<br />
うんと小さなころに買ってもらったジーンズ、ママのブラウス。<br />
セブルスは恥ずかしくて、いつもお父さんのお古のジャケットでおおいかくしている。<br />
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セブルスにはだいすきなともだちがいた。<br />
リリーはきれいな赤いかみのかわいい女の子で、セブルスが話すのをうれしそうに聞いてくれる。<br />
リリーのお姉さんのペチュニアは、セブルスはあんまり好きではなかった。<br />
だけどペチュニアが、スネイプの家があるスピナーズエンドは汚らしいと言う。<br />
だからリリーと遊ぶまえには、セブルスは公園の木の下にずっと早くついていて、セブルスにはわからない、いやなにおいが消えてしまうのを待つ。<br />
でも、今日はリリーが先に公園に来ていた。<br />
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セブルスがあらわれたのに気づいて、リリーは訊いた。<br />
「セブルス！　なにかあったの」<br />
「ううん」<br />
ほんとうは今朝、お父さんがおさらを割ってしまったので遅くなったのだけれど、セブルスは首をふった。<br />
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「今日はセブルスに見せたいものがあるのよ」<br />
リリーはかわいい花柄のリュックサックの中から、ふわふわの洋服を取り出した。<br />
「ほら、ね。これも。セブルスに似あいそうだから」<br />
かみどめや、くつや、くしを、リリーはつぎつぎ取り出して、セブルスの服の上から、ひらひらと合わせてみた。<br />
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「でも、これ、女の子の服だよね」<br />
「そうよ。でも、いっしょうに一回くらい、着てみましょうよ」<br />
それなら、リリーも男の子の服を着てみればいいのに。<br />
リリーは、セブルスの服と交換してみましょうとは、言わなかった。<br />
セブルスは自分の服は、本当のところは男の子の服じゃないもんな、と納得した。<br />
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「それに、この青いワンピース、とってもかわいいのに、私のかみの毛の色と合わないわ」<br />
そんなことないのに。<br />
でも自分の、においを干し出していない服から、すぐにでも遠くはなれてしまいたかったので、セブルスはワンピースをうけとった。<br />
けれど着がえようにも、服をぬぐのが恥ずかしくて、セブルスがもたもたしていると、リリーが言った。<br />
「先にスカートを着てしまってから、ズボンを脱げばいいのよ」<br />
なるほど、それなら下着は見えない。<br />
リリーはすごいなあとセブルスは感心した。<br />
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元の服はいつもの木の根元において、すっぽりとワンピースを着てしまうとリリーは歓声をあげた。<br />
「すごい、すごい。すてきよ」<br />
それからリリーは、公園のじゃぐちの水をつかって、ハンカチでごしごしセブルスの顔をふき、肩までのびたぼさぼさの黒い髪をくしでなでつけてくれた。<br />
なんだかリリーがお母さんみたい。<br />
こっそりそう思ったセブルスのまえ髪は、ていねいにピンでとめられ、うしろ髪は、みみの下で両わきにくくられていく。<br />
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くしを水道で洗ってから、リリーはニコニコと鏡をセブルスに向けた。<br />
セブルスが鏡をのぞいてみると、とってもかわいいとは言えないけれど、たしかに自分じゃない女の子がそこにいた。<br />
ゆったりとひたいをかくすまえ髪と、ちょろんとしたふたつ結びのおかげで、ふんわりとやさしい表情に見える。<br />
自分が自分ではないということは、すばらしいことに思えた。<br />
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リリーは自分の髪も手早くおなじように結んでほほえんだ。<br />
「ほら、これでおそろいね。姉妹がふえたみたい！」<br />
そうだたらいいのにな。セブルスはこくんとうなずいた。<br />
きちんとアイロンのかけられたリリーのワンピースを着ているので、ふだんのように地べたに座ったりはできない。<br />
ブランコにひかえめに腰かけて、リリーに借りた、サイズぴったりの茶色い皮のサンダルを眺めながら、ゆらゆらとからだをゆらすだけにした。<br />
こうして動作までもがちがうと、本当にじぶんが別人になってしまったような気分がする。<br />
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「なんだかセブルス、わたしよりおしとやかだわ」<br />
リリーはからからと笑った。<br />
セブルスはあわてて足をがにまたに開いて、胸のところでうでをくんだ。<br />
しかしリリーは笑いやむどころか、もっともっとおかしそうに大笑いした。<br />
「なんでわらうの？」<br />
セブルスがむっすりと言うと、リリーはとうとう笑いながら地面をけった。<br />
そしてブランコにいきおいをつけて、空に自分をさしだしながら、雲にとどくぐらい明るく言った。<br />
「だって、セブがあんまりかわいいんだもの！」<br />
かわいいって。それはあんまりだ。だって僕は男だ。<br />
でも。<br />
セブルスは思った。<br />
<br />
「その、セブっていうの、いいね！」<br />
名前までセブルスが残らないんなら、ほんとうにエバンズの家の子になって、今までの家は忘れてしまえそうだ。<br />
そうしたらちゃんといい子にして、なるべくペチュニアとも仲良くやっていこう。<br />
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リリーにつられてこぎはじめていたブランコを、セブルスはなるべく靴のそこをつかわないようにして止めた。<br />
「リリー。ちょっとこの服を、借りて行っていいかな」<br />
「もちろん！」<br />
「ありがと」<br />
セブルスはみじかく言って立ち上がった。<br />
「今すぐ？　どこへ？」<br />
リリーはブランコの速度をふっとゆるめた。<br />
「家」<br />
けれどそれを聞いて、リリーはうつむいて小さく手をふった。]]> 
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            <name>ぞり</name>
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    <published>2011-08-24T17:36:09+09:00</published> 
    <updated>2011-08-24T17:36:09+09:00</updated> 
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    <title>リドルネグレクト2</title>
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      <![CDATA[一人、廊下を歩いている。<br />
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薄暗い頭上からけたたましい音が聞こえ、天井の蝋燭が目の前にボトボトと落ちてきた。<br />
燃え残る火に驚いて立ち往生していると、すぐに「こら！」と学校の管理人が息を切らして現れた。<br />
「おまえが犯人だな。スリザリン生か、何年だ」<br />
「違う僕じゃない」<br />
入学したばかりで学校の勝手が分からず、今も道に迷っていたのだ。<br />
不可思議なことは数あれど、それで濡れ衣を着せられるとは。<br />
しかし管理人は信じないようだった。<br />
寮監への報告と、罰則が勝手に宣告されていく。<br />
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そこへ管理人の後ろから一人の教師が歩いてきた。<br />
「通してくれんかの」<br />
「生意気な生徒で、悪ふざけをした上に嘘をついている」<br />
その教師は鬱陶しげに杖を天井に向けて一振りした。<br />
光った先から、ヒュルルルと滑稽な姿をした小男が姿を現し落ちてきた。<br />
「ピーブズ！」<br />
小男はすぐに身を翻して、管理人はそれを追いかけて走り去った。<br />
<br />
「あ、あ……ありが、」<br />
アルバス・ダンブルドアは少年など居ないようにせかせかと通り過ぎた。<br />
やがて少年は、どんな教師にも疑われぬ、優等生へと身をやつした。<br />
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その数年後、"史上"最悪の闇の魔法使いがダンブルドアによって打ち倒されたという。]]> 
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            <name>ぞり</name>
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